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《 歯科衛生情報局 第3回 歯周病》

カテゴリー:歯科衛生情報局 更新日:2019.03.20

☆ 今日の先生 ☆

小山 祐樹 先生
本校「微生物学」の授業にて教鞭をとる。

歯周病とは、歯を支える歯周組織(歯肉・歯根膜・歯槽骨(しそうこつ)・セメント質)に炎症が生じている病気の総称です。

炎症が歯肉だけに留まっている状態を「歯肉炎」、炎症が歯槽骨にまで広がっている状態を「歯周炎」といいます。
歯周炎になると、歯を支えている歯槽骨が徐々に吸収し、だんだんと歯がグラグラして最終的には抜けてしまいます。

厚生労働省が実施している歯科疾患実態調査では、歯肉炎の状態を含めると、日本人の8割近くが歯周病に罹患(りかん・病気にかかること)しているという報告が出ています。

このように罹患率は非常に高いのですが、多くの人は自分が歯周病である事に気が付かないでいます。
これは、歯周病が『silent disease』と言われるように、痛みがなく静かに進行していくためです。


(クリックすると大きな画像で確認できます)

歯周病であるかどうかを調べるためには、歯科医院で歯と歯肉の間の溝(歯周ポケット)を測定してもらいましょう。
歯周ポケットの深さが1~2mmであれば問題はありませんが、ポケット深さが3mm以上であったり、測定時に出血がある場合は要注意です。

歯周病の原因は、歯の表面に付着しているデンタルプラーク(歯垢)です。
歯垢1mg中には10億個の細菌が存在しており、この細菌が持つ毒素によって歯槽骨の吸収が生じます。

そのため、歯周病の予防のためには、付着したデンタルプラークを除去することが最も重要です。
デンタルプラークは、バイオフィルムといって細菌同士が特殊な連携をとって歯面と強固に付着しているため、水圧や消毒薬では除去できず、歯ブラシによって機械的に除去する必要があります。
また、歯ブラシは歯の表面のプラークは除去できますが、歯と歯の間(歯間部)にはあまり入らないため、歯間ブラシフロスといった補助的な清掃用具も必須となります。

歯ブラシがしっかりと歯面に当たって磨けているか、歯間部の隙間に適したサイズの歯間ブラシを使用できているかなどは、自分で確認することが難しいため、ぜひ歯科医院で歯ブラシの練習をしてもらってください。

また、近年の研究で、デンタルプラーク中の細菌が血管内に侵入し血流に乗って全身に回ることによって、糖尿病や高血圧、アルツハイマー型認知症など様々な疾患とも密接に関係していることが明らかとなってきました。

歯ブラシは、虫歯や歯周病だけでなくこのような全身疾患の予防につながりますので、頑張って歯ブラシをしましょう。